令和8年2月定例会(第2号) 2026年2月27日

◯三十八番(朝倉浩一君)
 あいち民主の朝倉浩一です。
 私ども、あいち民主県議団は、現役世代及び若者世代が将来に希望を抱き、安心して暮らし働ける地域の実現を期して、ヤングビジョン@Aichi政策研究会を立ち上げるなど、不断の検討を重ねてまいりました。教育、人材育成、働き方、地域の活力醸成等、将来を見据えた施策の方向性について多角的に整理し、その成果を取りまとめ、去る一月二十一日、政策提言として大村知事に提出したところであります。
 次世代の視座を政策形成に適切に反映することは、持続可能な発展の礎であり、今後とも研さんを怠ることなく、取組を深化させてまいります。
 現在、円安や資材の高騰、人手不足などの影響により、我が国の物価は、依然として落ち着きを取り戻せない状況にあります。
 こうした中で、特に現役世代や若者世代が未来に希望を持って生活できる愛知県とするためには、早急に具体的な対策を講じていくことが必要であります。
 加えて、本年はいよいよアジア競技大会、アジアパラ競技大会の開催を迎える重要な年であり、この大会を成功裏に終わらせることは最大の使命であります。
 今回は、こうした内容も踏まえ、県政の諸課題について順次質問してまいります。
 質問の第一は、魅力的な地域づくりとさらなる愛知の発展についてであります。
 まず、アジア競技大会、アジアパラ競技大会についてお伺いします。
 最近の新聞報道等では、アジア競技大会、アジアパラ競技大会の準備状況について取り上げられることも増え、大会開催が迫りつつあることを実感しております。
 今年は、現在開催中のミラノ・コルティナ二〇二六冬季オリンピック、パラリンピックに続き、二〇二六ワールド・ベースボール・クラシック、FIFAワールドカップ二〇二六など、注目度の高いスポーツ大会が相次いで開催されます。こうした世界的なビッグイベントによって高まるスポーツへの関心を最大限に生かし、愛知・名古屋大会の盛り上がりにつなげていくためには、国内外における愛知・名古屋大会の認知度をさらに高めていく必要があると考えております。
 昨年開催された大阪・関西万博では、公式キャラクターのミャクミャクが様々な企業のキャラクターとコラボレーションし、双方でPR活動や商品展開をするなど、若い世代にも話題になるような広報戦略を繰り広げることで、認知度が高まることとなりました。
 愛知・名古屋大会では、アジア競技大会のホノホン、アジアパラ競技大会のウズミンというそれぞれの大会を表現するマスコットが、イベントなど様々な場面で活躍しており、その愛らしい姿から親しみやすい存在として人気を博しています。これらの視覚的に訴えるキャラクターは、国籍や文化の違う人たちにも受け入れやすい存在だと思いますので、大阪・関西万博の例などを参考に、ホノホンとウズミンを十分に活用するなど、さらに効果的な広報活動を進めていただくことを期待しております。
 一方、近年のスポーツ大会では、スポーツが持つ魅力や可能性を通して、様々な社会課題を解決することが期待されています。
 アジア競技大会、アジアパラ競技大会は、オリンピック、パラリンピックに次ぐ大規模な総合スポーツ大会であるとともに、アジアの友好と平和に貢献することを目的の一つとしており、愛知・名古屋大会の開催は、愛知・名古屋からアジア地域の連帯の意義を発信する機会となるとともに、人材の育成や交流人口の拡大、さらには、多様性を尊重し合う共生社会の実現を促進する好機となります。
 特に本県は、アジア地域出身の方々の在住者数が全国的に見ても多く、例えば、ベトナム、フィリピン、インドネシア出身者は、全都道府県で最多となっています。こうした中、セパタクローやカバディ等、アジア特有の競技が実施されるアジア競技大会は、県内に多く在留するアジア出身の方々と交流を持つ絶好の機会でありますので、大会を契機に、多文化共生への理解を一層深めるような取組が必要ではないかと考えます。
 また、アジアパラ競技大会は、日本の整形外科医である中村裕医師の呼びかけで一九七五年に始まった極東・南太平洋身体障害者スポーツ大会、フェスピックを前身としており、日本が発祥に関わりながら今日に引き継がれている国際スポーツ大会であります。
 このような背景を踏まえ、この意義深い大会の成功はもとより、障害のある方の社会参加や障害への理解の促進など、大会開催の成果をしっかりと残していく必要があります。
 そこでお伺いします。
 大会を契機とした共生社会の実現に向けて、県はどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 次に、県立美術館における誘客の取組についてお伺いします。
 今年度は、九月から国際芸術祭あいち二〇二五が、愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館及び瀬戸市のまちなかを会場に開催され、来場者数は五十万人を超えました。特に、フール・アル・カシミ芸術監督のネットワークや知名度もあり、これまで以上に海外からの来場者が多かったと伺っております。
 そして、今年は、大規模な国際イベントであるアジア競技大会、アジアパラ競技大会が県内各地で開催されるため、アジア諸国を中心とした外国人旅行者をはじめ、国内外から本県を訪れる旅行者が大きく増加することが見込まれております。
 こうした国際的なイベントを契機とした交流人口の拡大は、観光の振興や国際交流の促進により大きな経済効果が期待されるとともに、本県の文化資源や文化芸術の魅力を国内外に向けて発信し、大いにアピールしていく絶好の機会となります。
 国においても、二〇二〇年五月に新たに文化観光推進法を施行し、文化についての理解を深める機会を拡大し、それに伴う国内外からの観光客の来訪促進により、文化、観光の振興や地域の活性化につながる取組を推進しているところであります。
 こうした国の動向も踏まえ、本県が二〇二二年に策定したあいち文化芸術振興計画二〇二七においても、愛知の文化芸術のポテンシャルを生かした地域力の向上を基本目標の一つに掲げ、観光、まちづくり、国際交流等、様々な分野と連携、協働しながら文化芸術施策を展開することにより、地域力の向上を図ることとしております。
 本県においては、文化芸術施策の中核的施設として、愛知芸術文化センターと愛知県陶磁美術館を設置しており、国際芸術祭あいちの会場でもある愛知芸術文化センターについては、栄・都心部に位置する立地の特性を生かし、都市機能と一体となって芸術を創造し、地域の活性化により一層取り組んでいく必要があると考えます。
 また、焼き物のふるさと瀬戸市にある愛知県陶磁美術館については、二〇二五年三月に長寿命化改修工事を終え、全館リニューアルを迎えたことを機に、国内屈指の陶磁専門ミュージアムとして、新たな視点を加えた展示環境を整備し、魅力的な鑑賞・体験環境を提供することが求められております。
 折しも、愛知芸術文化センター内にある愛知県美術館と愛知県陶磁美術館については、この四月からの地方独立行政法人化に向けて準備を進めており、さきの十二月定例県議会における議決を経て、法人が達成すべき目標である中期目標が定められたところであります。
 この中期目標では、県民をはじめ、幅広い層に美術品等を紹介し、本県の文化芸術の国内外での評価を高めるとともに、地域の魅力を向上していくという観点から、県から法人に対して、展覧会等を通じた多様な鑑賞機会を充実することや、戦略的な広報を展開することなどが示されております。
 この地方独立行政法人化を機に、両美術館が、これまで以上に利用者の立場に立ったサービスの向上に努め、美術館を快適に鑑賞できる環境を提供することにより、効果的な誘客の取組を推進していくことが重要であると考えます。
 そこでお伺いします。
 四月から地方独立行政法人制度が導入される県立美術館において、効果的に誘客を推進するために、どのような取組を進めることが必要と考えられておられるのか、知事の御所見をお伺いします。
 次に、教育旅行をはじめとした国内旅行需要の取り込みについてお伺いします。
 最近の観光を巡る状況を見ますと、昨年は、堅調な訪日需要に加え、円安傾向が続いていることなども背景に、過去最高となる四千二百万人を超える外国人旅行者が日本を訪れました。
 一方で、国内の一部の地域ではオーバーツーリズム問題が生じており、対策が求められているところであります。京都をはじめとした有名観光地では、外国人旅行者の増加により、ホテルの予約が取りにくかったり、慢性的に交通渋滞が発生するといった問題も生じていると聞いております。
 また、価格の面においても、原材料費や人件費などの高騰が、宿泊費の上昇という形で現れているところであります。京都市観光協会が先月公表した統計によりますと、二〇二五年の市内の主要ホテルの平均客室単価は二万一千二百八十六円となり、統計開始以降の最高値を更新したとのことです。
 こうした状況などを受けて、国内旅行では混雑地を避けた旅行先を選ぶ動きが一部で見られます。とりわけ、学校行事である修学旅行においては、旅行費用に厳しい制約がある中で、旅行の時期を変更したり、これまで定番であった旅行先とは別の地域を宿泊地として検討するなど、各学校でこれまでのやり方を見直し、生徒にとって有意義な体験ができる旅行となるよう工夫を重ねておられるものと考えます。
 公益財団法人日本修学旅行協会が二〇二四年度に全国の一部の中学校、高等学校を対象に実施した、修学旅行の在り方に関するアンケート調査によりますと、今後の実施方面や時期、日程への影響、変化についての質問に対し、国内の異なる方面へ変更するや、実施時期を見直すの回答が上位を占めており、価格の高騰が旅行先に影響を及ぼしていることが考えられます。
 そうした中、本県は、旅行者を受け入れる余地があり、また、全国一のモノづくり県で、信長、秀吉、家康の三英傑を生んだ歴史をはじめ、自然、食文化、伝統文化など様々な魅力を有していることから、修学旅行をはじめとした教育旅行の目的地として、学校側が求める多様なニーズにも十分応えることができる地域ではないでしょうか。ぜひ、これら愛知ならではのこの地域資源を生かして、教育旅行の誘致に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 また、折しも愛知は、現在放送中の大河ドラマ、豊臣兄弟!ゆかりの地として、さらに、アジア・アジアパラ競技大会の開催地として、国内各地からの注目も高まっております。
 こうした機会も捉えて、今後、教育旅行はもとより、全国から本県により多くの旅行者にお越しいただけるよう取り組んでいただきたいと思いますし、そのためには、県外の旅行会社などへの働きかけが重要になってくるのではないでしょうか。
 そこでお伺いします。
 今後、教育旅行をはじめとした国内旅行需要を取り込むため、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 質問の第二は、生物多様性の保全に向けた取組についてであります。
 二〇二二年十二月に開催された生物多様性条約第十五回締約国会議(COP15)では、愛知目標に代わる世界目標である昆明・モントリオール生物多様性枠組が採択され、自然と共生する世界を二〇五〇年までに実現することを目指し、自然を回復軌道に乗せるために、生物多様性の損失を止め反転させること、いわゆるネイチャーポジティブの実現が二〇三〇年までのミッションとして挙げられました。
 このミッション実現のため、企業に対して、事業活動における生物多様性に係るリスクと影響を評価し、その情報を開示させることを促す政策上の措置を講じることとされました。企業にとって、生物多様性の損失は、原材料調達リスクの増大や水資源の不足など、事業継続そのものに関わる深刻な影響を及ぼすおそれがあります。こうした自然資本に対する企業の取組やリスク管理に対し、投資家や金融機関からの情報開示要求も高まっています。
 このため、企業が従来の社会貢献や環境配慮にとどまらず、自然への影響に対する評価や配慮を経営上の重要課題として位置づける、いわゆるネイチャーポジティブ経営への転換が求められており、その対応の遅れは、投資家評価の低下や資金調達コストの増大につながる大きなリスク要因となり得ます。
 一方、二〇二〇年に公表された世界経済フォーラムの推計に基づく環境省の試算によれば、ネイチャーポジティブ経営を行う企業の取組が消費者や市場から評価される社会へと変化した場合、国内でも年四十七兆円規模のビジネス機会が新たに生まれるとされ、ネイチャーポジティブ経営への転換は、結果として企業の競争力の強化や新たな成長にもつながるという指摘もあります。
 また、近年、気候変動による異常気象やプラスチックごみによる海洋汚染など、対応すべき環境課題は拡大していますが、ネイチャーポジティブとカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーの実現といった課題は、個別の対策で解決できるものではなく、相互に密接に結びついた課題であると言えます。
 最近問題となった事例を取り上げるなら、カーボンニュートラルの達成に向けて重要な手段であるメガソーラー(大規模太陽光発電所)では、建設地をめぐる自然景観や生物多様性への影響、さらには二〇三〇年代半ばから大量廃棄が見込まれる太陽光パネルの処理問題が顕在化するなど、個々の企業においても、こうした環境問題に対して分野横断的に向き合う必要性が高まっています。
 国においても、二〇二四年三月にネイチャーポジティブ経済移行戦略を定め、企業のネイチャーポジティブ経営への移行を後押ししており、とりわけ、世界有数の産業集積を誇る本県においては、ネイチャーポジティブを経営戦略に積極的に組み込む県内企業を支援することが重要であると考えます。
 そこでお伺いします。
 ネイチャーポジティブの実現に向けた企業の生物多様性保全の取組を促すため、県としてどのように支援していかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 質問の第三は、持続的な本県農業の振興についてであります。
 県開発品種のブランド防衛についてお伺いします。
 本県は農業産出額全国八位を誇る農業県であり、一九六二年から六十三年間連続で日本一の産出額を誇るキクなどの花卉類をはじめ、キャベツなどの野菜、イチジクなどの果樹、さらには主食である米など、多様な農作物が栽培されております。
 本県が全国的に見ても農業生産が盛んな県となったのは、生産者の飽くなき向上心と、それを支える施設や農業用水などの環境を整えてきた関係者の努力の賜物であると考えており、深く敬意を表します。
 その農業生産を新品種や新技術の開発によって支えてきたのが、長久手市に本場がある愛知県農業総合試験場であるといっても過言ではないと思います。その研究成果は、県内外に広く普及しているものがあると承知しています。
 農業総合試験場が開発した品種の中には、行政や農業団体などの関係者が連携して、様々な手法でPRを行い、いわゆるブランド化に取り組んでいるものもあると聞いております。
 県産農産物の知名度向上を図る上で県開発品種のブランド化は有効な手段であると思いますので、今後も積極的に取組を進めていただきたいと考えております。
 一方で、国や都道府県の試験研究機関が開発した品種の種苗が、品種を開発した育成者の許可なく販売されていたり、海外で栽培されている事例もあるといった報道を目にします。記憶に新しいのは、ブドウのシャインマスカットです。
 シャインマスカットは、二〇〇六年に国の試験研究機関が品種登録したもので、種なし栽培が可能で、皮ごと食べることができ、糖度も高いという、まさに日本の品種開発能力の高さがよく表れている品種です。
 しかし、現在では、国内だけでなく、海外においても日本の何倍もの面積で栽培されています。これは、シャインマスカットが開発された当時は、品種開発者が種苗の増殖や販売などを管理できる育成者権を保護する法律である種苗法に対する理解があまり広がっていなかったことが理由の一つにあるようです。
 さらに、種苗法が国内における権利保護を想定しており、海外への種苗の持ち出しをしっかり規制することができず、結果として海外での栽培に歯止めをかけることができなかったとも聞いております。
 現在では、法律が改正され、海外への種苗の持ち出しを制限することができるようになったとのことですが、このシャインマスカットの事例は、育成者権が侵害された極端な例かもしれません。
 しかしながら、国内においても、国が開発したイチゴの新品種の苗が、開発者の許可なく、フリマサイトで販売され、二〇二四年十二月に種苗法違反で逮捕者が出たとの報道があったとのことで、育成者権の侵害は、国内外を問わず発生するおそれがあると考えております。
 本県が開発した品種についても、育成者権が適切に保護されなければ、県内外の生産者に自由に栽培されてしまうおそれがあります。その結果、栽培指導などが行き届かず、品種の特徴が充分に発揮されないまま、品質の低下を招き、品種の評価を大きく下げる原因となりかねません。
 特に、関係者が連携して様々なPRや栽培技術の向上などに取り組み、ブランド化を進めている品種であれば、その努力が無駄になるばかりではなく、県産農産物の知名度向上や需要の拡大といった大きな目的の達成も困難になるおそれがあります。
 こうしたことから、県開発品種の育成者権を守ることは、単に権利を保護するというだけでなく、その品種のブランドとしての価値を防衛することにつながるものと認識をしております。
 そこでお伺いします。
 県開発品種のブランド防衛についてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 質問の第四は、安全・安心の確保についてであります。
 まず、居場所のない妊産婦に対する福祉的な支援についてお伺いします。
 国の調査によると、全国で二〇二三年度に心中以外の虐待により亡くなった子供四十八人のうち、ゼロ歳児は三十三人で、全体に占める割合は六八・八%と過去最高を更新しています。その中でも、生後二十四時間以内に亡くなった、いわゆるゼロ日児死亡は十六人と、ゼロ歳児死亡の約半数を占めております。
 これらの事案においては、生まれて間もない、かけがえのない命を救うことができなかった背景として、予期せぬ妊娠などにより妊娠を受容できず、パートナーの支えもなく、危機的な心理状況の中で孤独に出産をしている女性たちの状況が報告されています。
 必要な支援を受けられずに孤立を深めると、妊娠期に医療機関を未受診のまま、自宅など医療機関以外の場所で出産するケースも多く、妊婦や胎児の安全を確保できない懸念があることに加え、出産後もどうしたらよいか分からず、生まれた子供への虐待につながってしまうおそれがあります。
 こうした深刻な状況を踏まえ、二〇二四年四月施行の改正児童福祉法においては、課題を抱える妊産婦等への支援を強化するため、一時的な住まいや食事の提供、その後の養育等に係る情報提供や、医療機関等の関係機関との連携を行う、妊産婦等生活援助事業が創設をされました。
 本事業は、予期せぬ妊娠に悩んでいる方や、家族関係の悪化や経済的困窮により居場所をなくした妊婦の方等々、幅広い層を対象とし、自立まで一貫して関わる体制に特徴があります。
 支援を必要としながらも孤立してしまう方の中には、複雑な生い立ち等から人間関係の構築に苦手意識を持つ方も多く、入り口から出口まで、同じ場所で、同じ支援者が関わる本事業は、こうした方々にも安心して利用していただきやすいというメリットがあります。
 また、継続的に関わることで、利用者それぞれの背景や性格等を十分に理解した上で、信頼関係に基づいた支援を行うことも可能となり、妊産婦の社会的な孤立を防ぐセーフティネットとしての機能を担うことが期待されます。
 一方、本県の現行支援体制を見ると、市町村保健センターや女性相談支援センター等で相談を受け付け、出産前は女性自立支援施設、出産後は母子生活支援施設において日常生活の支援を行うなど、各機関の機能を生かしながら必要な支援に取り組んでいるものの、出産前後で支援場所が異なる場合もあり、支援者が替わるたびに一から関係性を構築しなければならない利用者の心理的負担の軽減と支援の一貫性の確保が課題になっていると考えます。
 本県では、愛知県こども計画はぐみんプラン二〇二九において、妊娠期からの虐待予防のための支援として、出産後の子供の養育に課題を抱える妊婦が安心して出産を迎え、産後も母子が安定した生活を送ることができるよう、妊産婦に対する必要な支援の強化に努めることとしており、予期せぬ妊娠により不安を抱える妊婦等を早期に発見し、生まれてくる大切な命を守るため、県としてさらなる取組が急務であります。
 そこでお伺いします。
 周囲から孤立し、頼る人がいないなど、困難を抱える妊産婦への支援について、県として今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 次に、医師確保と医師の働き方改革についてお伺いします。
 本県は、医学部を有する四つの大学をはじめ、高度な医療技術を提供する医療機関が数多く存在し、全国的に見ても医療水準の高い地域であると思っています。身近な場所で専門的かつ良質な医療を受けることができる状況は、県民の皆様が健康的で安心な生活を送る上で大きなメリットがあると感じております。
 しかしながら、医療水準が充実している一方で、医療の現場からは、依然として、医師の数が足りていない、医療現場が逼迫しているなどという声を耳にすることがあります。
 医師の偏在状況を全国ベースで客観的に示すため、厚生労働省が地域ごとの医療ニーズや人口構成、医師の年齢構成等を踏まえて算出している医師偏在指標によりますと、愛知県の指標は二百四十・二で、四十七都道府県中二十八位となっております。全国平均の二百五十五・六をやや下回っている状況であります。
 引き続き、充実した医療体制を提供し、県民の皆様が安心して暮らすことのできる地域を守っていくためには、必要とされる医師をしっかりと確保していくことが大変重要であるものと考えております。
 また、医師の勤務環境についてでありますが、厚生労働省の研究班が二〇二二年七月に実施した医師の勤務環境把握に関する研究では、調査対象の病院勤務医約一万一千五百人のうち、年間の時間外労働が九百六十時間を超えた割合は二一・二%で、二〇一六年度の調査の三九・二%、二〇一九年度調査の三七・八%から改善されているものの、依然として厳しい環境に置かれています。
 このように、医師の勤務環境改善が大きな課題となる中、二〇二四年四月から医師の働き方改革の取組が開始され、医療機関における医師の時間外労働の上限が、救急医療や臨床・専門研修等を担うため、知事の指定を受けることで年間時間外労働が千八百六十時間まで認められた特定労務管理対象機関を除き、原則、年間九百六十時間までと定められました。
 これまで地域医療は、医師の高い使命感と献身的な長時間労働により支えられてきたという側面もありましたが、医師が、心身ともに健康的で、将来にわたり働き続けることのできる環境を整備することは、医師本人にとってはもとより、県民の皆様に対して提供される医療の質及び安全性が確保され、持続可能な医療体制を維持していく上で、非常に大切な取組であると考えております。
 医療ニーズの変化や医療の高度化が進んでいく中で、これからも県民の皆様が安心して良質な医療を継続的に受けられるようにするためには、地域で必要とされる医師を確実に確保していくとともに、医師の働き方改革をしっかり推進していくことが必要であると感じております。
 そこでお伺いします。
 医師確保と医師の働き方改革についてどのような取組を行っていかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 次に、危機管理対策の推進についてお伺いします。
 県民の安全・安心を脅かすのは、南海トラフ地震や大型の台風といった自然災害だけではありません。外国による我が国への武力の行使や、無差別に人々を殺傷するテロリズムなど、我々にとって重大な脅威であります。
 先月も、一月四日、二十七日には、いずれも我が国のEEZ(排他的経済水域)の外に落下したと推定され、付近の航空機や船舶の被害は確認されていないものの、北朝鮮が複数の弾道ミサイルを東に向けて発射したことが報じられました。
 我が国では、武力攻撃やテロから国民の生命、身体及び財産を保護し、国民生活等に及ぼす影響を最小にするため、二〇〇四年に武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律、いわゆる国民保護法が制定され、国、地方公共団体や関係機関は、この法律に基づき国民の保護に関する計画を作成し、平時から対策に取り組むこととされております。
 特に地方公共団体に対しては、弾道ミサイルの爆風による被害から逃れるため、コンクリート造りの堅牢な建物や地下施設を避難施設として指定するとともに、関係機関と連携して、司令塔を担う国民保護対策本部が適確に運用できるよう、また、地域では、住民が一刻も早く安全な場所に避難できるよう、様々なレベルでの訓練を重ねることが求められています。
 一方で、昨年、戦後八十年を迎えた我が国は、この間、幸いなことに外国からの攻撃や侵略を受けることもなく今日に至っております。
 このため、外部からの弾道ミサイルなどの武力攻撃や大規模テロの話を聞いて、その脅威や危険性について理屈では分かったとしても、現実味が伴わない遠い国の話になってしまい、自分事として受け止められない方が多いのではないでしょうか。
 国民保護法が制定されてから、これまでに法律に基づき国民の保護のための措置が実施された例はありませんが、将来にわたってこうした事態が発生しないことが保証されるわけではありません。この先、いよいよそのようなリスクが顕在化してから、慌てて対応に本腰を入れていたのでは、遅きに失してしまいます。関係機関と連携して、しっかりと備えていくことが重要であると考えます。
 そこでお伺いします。
 本県においても、武力攻撃やテロから県民の安全を守るため、このような事態を想定した危機管理の対策を進めていく必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いします。
 次に、警察官の拳銃使用についてお伺いします。
 近頃、刃物を使用した通り魔事件や強盗事件など、様々な凶悪犯罪に関するニュースをよく目にすると感じております。
 過去には、こうした凶悪な犯罪に対応した警察官が、犯人からの抵抗により殉職する事件も発生しております。
 県内では、二〇〇三年に発生した大曽根駅前における立て籠もり事件や、二〇〇七年に発生した愛知郡長久手町、現在の長久手市における立てこもり事件に対応した警察官が殉職、あるいは重傷を負ったほか、最近では、隣県ではありますが、二〇二三年に長野県におきまして、男に女性が刺されたとの通報に対応した警察官二名が銃撃されるなどして殉職するという非常に痛ましい事件も発生しております。
 県警察におきましては、県民の皆さまの安心・安全を守るため、日々職務に邁進されているものと思いますが、こうした凶悪な犯罪が、いつ、どこで発生するか分からない状況であることを考えると、警察官の職務の重さを感じるとともに、現場の最前線で活動する警察官の身の安全を危惧してやみません。
 凶悪な犯罪に対処するため、警察官には、武器の使用、具体的に申し上げますと、拳銃を携帯し、使用することが認められておりますが、実際に拳銃を使用することができる要件や場面につきましては、法令等によって厳格に定められているものと承知をしております。
 県警察におきましては、警察官に対して拳銃の適正な使用について様々な指導、教育がなされているものと考えますが、一方で、警察官が拳銃を使用した場合、その適否について、犯人側と刑事、民事の両面で争う事態になるおそれがあるものと認識しております。
 警察官が、拳銃を使用すべき場面において、後々、不適切な使用であるとのそしりを受けるのではないかというおそれを抱くあまり、万が一、拳銃の使用をちゅうちょするようなことがあれば、警察官自身の命が危険にさらされるばかりか、その場で制圧、逮捕されるはずであった犯人が逃走し、付近の住民に危険が及ぶことも考えられます。
 そのため、警察官各個人が、現場の状況を適切に判断し、拳銃を使用すべき場面においては、一切のちゅうちょなく、自信を持って使用することができるようにしておくことが、警察官自身の身を守ることにつながり、ひいては、県民の皆様の安心・安全を守ることにもつながるものと考えております。
 そこでお伺いします。
 県警察において、現場の警察官が拳銃の使用をちゅうちょしないためにどのような取組を行っていかれるのか、警察本部長の御所見をお伺いします。
 質問の第五は、誰もが活躍できる社会の実現についてであります。
 まず、中小企業における人材確保への支援についてお伺いします。
 本県の産業を支える中小企業は、少子・高齢化による人口減少の進行とともに深刻な人手不足に直面しています。
 二〇二六年一月に帝国データバンクが公表した調査によると、従業員の離職や採用難などによる人手不足を要因とする二〇二五年の人手不足倒産は、四百二十七件に上り、三年連続で過去最高を更新しています。
 そのうち、七七%に当たる三百二十九件が、従業員十人未満の小規模企業であるとのことです。
 また、本県が実施する中小企業景況調査においても、二〇二五年十月から十二月期では、雇用人員が不足すると回答した企業の割合が、過剰と回答した企業を二十三・六ポイント上回る結果となっており、中小企業の経営にとって人手不足は喫緊の課題となっています。
 そうした中、中小企業が求職者から就職先として選ばれるためには、まずは、職場としての魅力を向上させることが重要と考えます。
 近年、若者の就業意識は大きく変化しており、民間の人材紹介会社が二〇二五年卒業の大学生等を対象に行った調査によると、採用充足企業と未充足企業の間で最も差が大きかったのは、在宅勤務やフレックスタイム制度の導入などの働き方の制度であったとされています。
 また、別の民間調査でも、二〇二六年卒業の大学生等に就職観を聞いたところ、個人の生活と仕事を両立させたいという回答が三年連続で増加しており、ワーク・ライフ・バランスへの志向が顕著であります。
 多様で柔軟な働き方のできる社内制度の整備によって職場の魅力を高めることは、有効なアピールポイントになると考えられます。
 また、現在、大学など高等教育機関の学生のうち、おおむね三人に一人が奨学金制度を利用しているとのことです。新入社員等の奨学金返済を支援する制度を持つ中小企業は、求職者に福利厚生の充実した企業としてよい印象を与え、入社へのインセンティブとなり得ると思われます。
 こうしたことから、ワーク・ライフ・バランスの充実などを通して職場の魅力向上に取り組む中小企業を県として支援していくことは、人材確保の促進に大変有効であると考えます。
 一方、本県は全国一の産業県であり、モノづくりを中心に地力のある優良な中小企業が数多くありますが、大企業と比べて、採用ノウハウや広報力の不足から、充分な人材確保につながっていない実情があります。
 こうした本来地力のある中小企業が、自社の強みや魅力を見極めて、求職者へうまくアピールすることができれば、まさに鬼に金棒です。
 中小企業は、若者をはじめ、女性、中高年齢者など、多様な人材から就職先として選ばれるよう、人材採用力を高める取組を県として支援していく必要があると考えます。
 以上、経営上の重要課題として、人手不足に直面する中小企業に対し、職場の魅力向上や人材採用力の強化を支援することが、多様な人材を確保する上で大変有効であるという指摘をいたしました。
 なお、付け加えれば、こうした施策は、実施して終わりではなく、どれだけの採用に結びついたかなど、成果を検証しながら進めることも大切だと考えます。
 そこでお伺いします。
 県として、中小企業における人材確保への支援にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 最後に、中高一貫教育についてお伺いします。
 本県では、少子化に伴う生徒数の減少や、社会のグローバル化、デジタル化といった県立高校を取り巻く状況の変化を踏まえて、二〇二一年十二月に県立高等学校再編将来構想を策定し、県立高校の魅力化や特色化、再編など、様々な改革の取組を検討、実施してこられました。
 そうした中、二〇二三年一月には中高一貫教育導入方針がまとめられ、この方針に基づき、昨年四月には、第一次導入校である明和、津島、半田、刈谷の四校の附属中学校が開校し、間もなく最初の一年が過ぎようとしています。
 これらの四校は、いずれも探究学習重視型と位置づけられており、生徒が自ら発見した課題について情報を収集、分析し、仲間とディスカッションしながら考えをまとめ、発表するという学習サイクルを通して、生徒の探究心や困難な課題に挑戦する力などを引き出し、変化の激しいこれからの社会をリードするチェンジ・メーカーを育成することを狙いとしています。
 これらの学校では、私学や他県の中高一貫校に見られるような大学受験に特化した先取り学習は行わず、高校受験のない中高六年間のゆとりあるカリキュラムの中で、生徒が興味、関心のあることをとことん探究できることに特徴があります。また、津島高校附属中学校では、国際的な教育プログラムである国際バカロレアの導入を目指しています。
 開校してからの学校の様子は、新聞やテレビなど様々なところで取り上げられており、私も拝見しましたが、いずれの学校も、生徒たちが伸び伸びと学習に取り組んでいる姿が印象に残っています。
 そして、今年の四月には、第二次導入校もスタートします。このうち、豊田西、西尾、時習館の三校が、第一次導入校と同様の探究学習重視型として開校するのに加えて、AIやデータサイエンスに興味、関心を持つ生徒の能力や可能性を引き出す高度モノづくり型の愛知総合工科や、不登校を経験した生徒の学びの場として、本県初の公立の学びの多様化学校となる日進高等学校といった、全国でも例を見ない中高一貫校も開校します。
 一月に実施された附属中学校の入学者選抜には、二千六百人を超える小学生が志願し、一月下旬には合格者が発表されており、日進高等学校附属中学校では、昨年十月から十二月にかけて、学校説明会や学校体験、個別面談により、生徒の状況を丁寧に確認しながら、一月末に受け入れる生徒を決定したと聞いています。入学予定の小学生たちは、春からの新しい学びの場でのチャレンジを今から心待ちにしているのではないでしょうか。
 そこでお伺いします。
 中高一貫教育がスタートしてこの一年間、どのように取り組んできたのか、また、今後どのように取り組んでいかれるのか、教育長の御所見をお伺いします。
 以上、あいち民主県議団を代表して、県政各般にわたる様々な課題についてお尋ねいたしました。真摯な御答弁をお願い申し上げまして、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔知事大村秀章君登壇〕

◯知事(大村秀章君)
 あいち民主県議団団長代行兼幹事長の朝倉浩一議員の質問にお答えをいたします。
 初めに、アジア競技大会、アジアパラ競技大会についてのお尋ねであります。
 愛知・名古屋二〇二六大会は、他の国際スポーツ大会と同様、国籍や文化の違い、障害の有無等を超え、共生社会の実現に貢献するという社会的意義を有しております。
 このため、本県では、本大会を契機に、選手や来訪者に対するおもてなしや、この地域に暮らすアジア諸国の人々との交流を通じて、国際交流や国際理解が一層推進されるよう、県内市町村の取組に対して支援を行っており、来年度はさらに多くの取組が実施されます。
 また、大会の成り立ちや意義とともに、アジアの文化等を映像で学べる児童生徒向けの教材を制作し、既に小中学校等で活用いただいております。この教材をきっかけに、関心を持った国や選手たちを競技会場で応援することは、試合に臨む選手たちの力になるだけでなく、多文化共生の心を育むものと大いに期待をいたしております。
 さらに、パラアスリートが小学校を訪問し、交流を通じて子供たちに障害への理解等を深めてもらう取組について、来年度は拡大して実施をし、競技会場での応援につなげるなど、インクルーシブな社会をつくる行動変容への第一歩としていきたいと考えております。
 アジア最大のスポーツの祭典を県民の皆様と共に、日本全体でつくり上げていきたい。特にアジアパラ競技大会は日本初開催であり、会場での観戦そのものが、多様性と共生社会を考える貴重な機会であると考えております。
 これらの取組を着実に行い、大会の成功のみならず、多様性を尊重し合う共生社会の実現に向け、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、県立美術館における誘客の取組についてであります。
 愛知県美術館と愛知県陶磁美術館については、一月下旬に総務省への認可申請を行うなど、四月からの地方独立行政法人化に向けた準備を進めているところでありますが、従来より継続して取り組んできた、美術品の収集、展示、調査研究や教育普及事業といった美術館運営の中核となる事業については、引き続きしっかりと実施してまいります。
 さらに、地方独立行政法人化後は、ICTの進展、普及に伴う新たな情報発信手段の活用や、利用者の立場に立った観覧環境の整備などを実施することにより、県民の文化芸術活動や鑑賞の機会を拡大し、地域の魅力向上を図っていくことを中期目標において示し、法人に実施を求めております。
 そのため、法人では、広報に関する専門職員を配置するとともに、ウェブサイトのリニューアルをはじめ、SNSやインフルエンサーを活用した効果的な情報発信など、幅広い層の関心を引きつけることができるよう、戦略的な広報を積極的に展開していくこととしております。
 また、集客力のある展覧会を定期的に開催することに加え、来館者の満足度をより高めるために、魅力的なオリジナルグッズを販売するミュージアムショップや、展覧会を鑑賞した後の余韻を楽しむことができるカフェなど、美術館に附帯するサービスの充実を図っていくこととしております。
 地方独立行政法人化を機に、これまで以上に効果的な誘客につながる取組を切れ目なく展開し、新たな需要や高い付加価値を生み出すことにより、多くの皆様に御来館いただける魅力あふれる美術館を実現してまいりたいと考えております。
 続いて、教育旅行をはじめとした国内旅行需要の取り込みについてお答えをいたします。
 愛知には、歴史、産業、自然、食、文化といった多様な地域資源があり、修学旅行や体験学習などの教育旅行の目的地として、他県に引けを取らない十分な魅力を備えております。
 こうした強みを最大限に生かして教育旅行の誘致を進めるため、県や市町村、観光協会、旅行会社などで構成するあいち教育旅行誘致促進協議会において、県外の学校や旅行会社に対するセールス活動のほか、ガイドブックやウェブサイトによる情報発信、さらには本県への新たな教育旅行を手配した旅行会社に対する補助などを行ってきたところです。
 これまで、この補助制度を活用し、小中学校や高等学校、そして特別支援学校の生徒さんたちに、名古屋城やトヨタ博物館、ジブリパーク等を訪れていただき、有意義な体験をしていただいたものと考えております。
 また、教育旅行を含む国内旅行の誘致を図るべく、県外の旅行会社と県内の観光関係者を結びつける商談会を開催し、旅行商品の造成につながる機会を提供してまいりました。
 今年は、大河ドラマ豊臣兄弟!の放送や、アジア・アジアパラ競技大会の開催により、愛知への注目が一段と高まる機会となることから、東京都内において、首都圏の旅行会社等を対象に観光セミナー併催の大商談会を新たに開催いたします。
 本県の最新の観光情報をお伝えするとともに、多くの県内の観光関係者との商談、交流の場を提供することで、大会前後の本県への旅行商品の造成を後押ししてまいります。
 今後も県内の観光関係者と緊密に連携し、教育旅行をはじめとした国内旅行需要のさらなる取り込みに向けてしっかりと取り組んでまいります。
 次に、生物多様性の保全に向けた取組についてであります。
 本県では、人と自然が共生するあいちを目指して、あいち生物多様性戦略二〇三〇の重点プロジェクトの一つに、事業者の保全活動の推進を位置づけ、企業による取組を後押ししてまいりました。
 具体的には、二〇二二年度に、あいち生物多様性企業認証制度を創設し、これまでに優れた取組を行う企業七十四社を認証しております。その約七割の企業が、自社の開発、生産等における生物資源の持続的な利用や、サプライチェーン全体における環境負荷低減に取り組んでいると同時に、ほぼ全ての企業がカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーといった分野横断的な環境配慮経営に取り組んでおり、ネイチャーポジティブ経営が着実に浸透してきております。
 今後、ネイチャーポジティブ経済の実現が求められる中、本県では、今年度実施している戦略の中間見直しにおいて、事業者の保全活動の推進の一つとして、ネイチャーポジティブ経営の推進を新たに明記するとともに、自社の事業活動が生物資源に与える影響などを学ぶセミナーを開催し、企業のネイチャーポジティブ経営への積極的な移行を促してまいります。
 さらに、民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域を国が認定する自然共生サイトについては、企業のネイチャーポジティブ経営を見える化する取組となることから、来年度、地域の保全団体が企業等と協働で進める自然再生モデル事業を支援し、新たな自然共生サイトのケーススタディーとして広く情報発信してまいります。
 引き続き、こうした取組を通じて、生物多様性の保全に取り組む企業を支援してまいります。
 続いて、県開発品種のブランド防衛についてお答えをいたします。
 愛知県では、県産農産物の知名度向上と需要拡大を図るため、暑さに強く、上品でもっちりとした食感が特徴の米、愛ひとつぶや、大玉で艶があり、しっかりとした甘さを持つイチゴ、愛きらりなど、農業総合試験場が開発した優良な品種のブランド化を、生産者や農業団体などと協力して推進しております。
 今月七日には、私が先頭に立ちまして、首都圏の消費者に愛きらりをはじめとした県産農産物の魅力をPRするトップセールスを、東京の大手量販店の協力を得て品川区の店舗で行ってまいりました。具体的には、大崎の量販店の店頭で行ってまいりました。
 本県の開発品種を価値あるブランドとして大きく育てていくためには、こうした販売の努力を積み重ねるとともに、開発者の権利である育成者権を適切に保護することが不可欠であると認識しております。
 これまでも本県の開発品種につきましては、種苗法に基づいて、県と生産者との間で種苗の流通範囲や生産物の取扱い条件などを定めた契約書を締結し、適正な品種管理に努めてまいりました。
 また、権利侵害を未然に防ぐため、全国の都道府県と連携して、契約者以外が無断で栽培を行うことがないよう、生産者への指導、啓発を行うとともに、海外においても、農林水産省など関係機関からの情報提供を受けながら、権利侵害の防止に努めております。
 そうした中で、権利侵害が確認された場合には、国が設置する品種保護活用相談窓口、いわゆる品種保護Gメンの支援も得ながら、種苗法に基づく差止請求や損害賠償請求といった対抗措置を講じるなど、必要な対応を行ってまいります。
 引き続き、県農業総合試験場において優れた新品種の開発を積極的に進めるとともに、開発した品種のブランド価値をしっかりと守り、その維持、向上に取り組んでまいります。
 次に、居場所のない妊産婦に対する福祉的な支援についてのお尋ねであります。
 安心して過ごせる場所がなく、生活が苦しい中での予期せぬ妊娠など、複合的な課題を抱える妊産婦に対し、妊娠期から出産後にかけて当面の生活の安定を図り、自立に至るまでを切れ目なく支援することは、母子の命と健康を守る上で大変重要であります。  特に、身近に相談できる相手がなく孤立している妊産婦は、必要な支援につながらず、問題が深刻化するおそれがあることから、早期に支援を届ける必要があります。
 本県ではこれまで、市町村の相談窓口をはじめ、女性自立支援施設や、母子生活支援施設など関係機関が連携し、相談や住まいの提供を含む生活支援に取り組んでまいりましたが、各機関が担う役割が異なるため、支援の段階により対応する期間が変わり、利用者には関係を一から築き直す負担が生じていました。
 こうした状況を踏まえ、一つの機関が相談の受付から自立までを包括的に支える体制を整えるため、本年十月に、相談窓口と居場所を兼ね備えた妊産婦等生活援助事業所を新たに開設することといたしました。
 この事業所では、気軽に相談できるようSNSを活用した相談窓口を設け、市町村やNPOなど妊娠期の相談を受ける機関とも幅広く連携をし、支援が必要な方を把握してまいります。さらに、安心して生活できる場所がない方には、住居や食事を提供し、体と心のケアを行いながら、医療機関の受診に同行するなど、まずは安心して出産できる環境を整えてまいります。
 出産後は、自立に向けた将来の生活設計を共に考え、子育てを支えながら、生活や育児の力を高め、退職の住まいや仕事探しまでを寄り添って支援してまいります。
 切れ目のない支援をいち早く届け、困難な状況に置かれた妊産婦が安心して出産し、母子ともに健やかで安定した生活を送ることができるよう、しっかりと取り組んでまいります。
 続いて、医師確保と医師の働き方改革についてお答えをいたします。
 県内各地域における医療体制を維持していくためには、医師確保と併せて、医師の働き方改革を推進していくことが大変重要であります。
 まず、医師確保につきましては、本県では、地域の救急医療等を担う公的医療機関で一定期間医療に従事する、いわゆる地域枠医師を養成し、現在三十九名の医師が地域の医療機関で従事しております。
 また、僻地の医療の確保、向上を目的として、都道府県が共同で設立した自治医科大学の卒業医師を、医師の確保が難しい僻地の医療機関等に対して十六名派遣しております。
 さらに、僻地診療所の運営費や施設設備の整備費等に対して補助を行うとともに、来年度からは、新たな取組として、医師少数区域である東三河北部医療圏において、診療所を開業等する際に必要となる施設整備費等に対する補助も行ってまいります。
 次に、医師の働き方改革につきましては、二〇一五年度から愛知県医療機関勤務環境改善支援センターを開設し、医療機関からの電話相談への対応や社会保険労務士等の派遣による助言などを行うほか、国の医師の働き方改革に先駆け、二〇二二年度からは、病院からの要請を受けて個別に院内研修を実施するなど、医療機関に対する様々な支援を行っております。
 また、医師事務作業補助者の雇用やICT機器の導入など、医師の勤務環境の改善に取り組む医療機関に対して補助を実施するとともに、救急医療等に従事する医師の負担軽減を図るため、時間外勤務の上限の特例が適用されている特定労務管理対象機関に医師を派遣する大学病院に対して補助を行うなど、医師の働き方改革を積極的に推進しております。
 引き続き、医師確保と勤務環境改善の両面からしっかりと取組を進め、県民の皆様に良質で安心な医療を提供してまいります。
 次に、危機管理対策の推進についてであります。
 外部からの武力攻撃やテロリズムから県民の生命、財産を守るためには、平時から万が一の事態発生に備えた対策を進めていくことが重要であります。
 このため、本県では、愛知県国民保護計画に基づき、万が一の事態において住民避難を的確かつ迅速に実施するため、施設管理者の御理解を得た上で、公園やグラウンド、学校をはじめとする公共施設等を避難施設に指定する取組を進めております。
 特に、弾道ミサイル攻撃などによる爆風からの被害を軽減するため、堅牢な建物や地下道を指定する緊急一時避難施設については、市町村等と連携して着実に指定を進め、国の目標である今年度末の人口カバー率一〇〇%を昨年の四月時点で達成しているところであります。
 また、武力攻撃事態等への対処能力を向上するための実践的な取組として、昨年度、本県においては初めて、近く武力攻撃が発生するおそれのある切迫した事態を想定し、国、静岡県、豊橋市などと共同で、県の区域を越える事前の住民避難と救援について訓練を実施したところであります。
 さらに、今年度は、十一月に大府市、今月は小牧市において、弾道ミサイルの飛来を想定した避難訓練を、地域住民や自主防災会の皆様の参加の下に行いました。
 武力攻撃やテロなどの事態に備えるため、引き続き、市町村等としっかりと連携しながら、避難施設のさらなる指定を進めるなど対応力を強化し、県民の皆様の安全・安心につなげてまいります。
 さて、私からの最後の答弁になりますが、中小企業における人材確保への支援についてお答えをいたします。
 本県の産業、経済を支える中小企業にとって、競争力の源泉である人材を安定的に確保することは極めて重要であります。そのためには、若者など求職者にとって魅力ある職場環境づくりが大変効果的です。
 そこで、本県では、休暇の取得促進や、仕事と育児、介護との両立支援など、ワーク・ライフ・バランスを重視した経営に積極的に取り組む中小企業を認定し、建設工事の入札参加資格審査で加点するなどの支援に取り組んでおります。
 また、若い世代では、フレックスタイム、短時間勤務、在宅勤務など、多様で柔軟な働き方へのニーズが高まっております。そこで、中小企業がこうした働き方の制度を円滑に導入できるよう、経営者の意識改革を促すシンポジウムや、企業ごとの課題に応じた伴走支援等を新たに実施してまいります。
 さらに、就職先選びの動機づけの一つとなる奨学金返還支援制度については、一人当たり補助総額六十万円の範囲内で、補助期間を現在の三年間のほか、新たに六年間も選べることとするなど、使い勝手をよりよくし、中小企業の利用促進を図ってまいります。
 一方、中小企業の人材確保に向けては、人材採用力の強化を図ることも重要です。本県には、知名度や訴求力は十分でないものの、きらりと光る技術、技能を誇る優秀な中小企業が多数ありますので、そうした企業が自らの強みを的確に把握し、効果的に発信していけるよう後押しをしてまいります。
 具体的には、新年度から、自社ブランディングやSNS活用の方法等を学ぶセミナーや、専門家による伴走型支援、そうした学びを実践する就職フェア出展等への経費助成など、採用活動支援を展開してまいります。
 本県産業の発展を担う中小企業が、優秀で多様な人材を確保していけるよう、こうした支援の取組を、適時の成果検証と必要な改善を図りながら、力強く進めてまいります。
 以上、御答弁申し上げました。

◯警察本部長(佐藤隆司君)
 警察官が拳銃の使用をちゅうちょしないための取組についてお答えいたします。
 警察官の拳銃の使用につきましては、警察官職務執行法と警察官等拳銃使用及び取扱規範にその要件が定められており、警察官は、犯人の逮捕または逃走の防止、自己または他人に対する防護、公務執行に対する抵抗の抑止のため、必要があると認める場合に、必要な限度において、相手に向けて拳銃を構える、威嚇射撃をする、といった行為が認められております。さらに、この要件に加え、正当防衛、緊急避難のほか、凶悪な犯人を逮捕する際に、ほかに手段がない場合など、一定の場合に限り、相手に向かって拳銃を撃つことが認められております。
 県警察におきましては、これらの法令等を厳格に解釈した上で、様々な訓練を繰り返し実施しております。
 具体的には、現場の最前線で活動する警察官は、刻々と変化する現場の状況に的確に対応する能力を養うため、様々な想定が投影されたスクリーンに向けてレーザー光線で射撃を行う訓練装置、いわゆる映像射撃シミュレーターによる拳銃の使用判断訓練をはじめ、実際に発生する可能性の高い事案を想定した実践的な訓練を実施しております。
 また、交番の警察官等が行う実包を使用した射撃訓練につきましては、春日井市の警察学校に所在する学校射撃場と、二〇二四年十一月に岡崎警察署の建て替えに伴い併設された岡崎射撃場の二か所で実施しているところでございます。
 こうした訓練を継続的に行い、警察官の拳銃の使用判断能力や射撃の技術を高めていくことで、現場においても、必要な場合には、ちゅうちょすることなく適切に拳銃を使用することができるようになるものと考えております。
 引き続き、現場の警察官が適切な判断に基づき、拳銃を使用すべき場面において、ちゅうちょすることなく使用できるよう、訓練を実施してまいります。

◯教育長(川原馨君)
 中高一貫教育についてお答えいたします。
 今年度開校した第一次導入校四校では、各学校の教育方針に沿って、特色ある教育活動を進めております。
 明和では、大学教授によるセミナーや研究施設への訪問などの機会を数多く設け、刈谷では、夏休み期間中などに、生徒が希望に応じて参加できる特別講座を開催し、探究のベースとなる知的好奇心を育んでおります。
 また、半田の数学の授業では、生徒が学習進度や興味、関心に応じて自主的に学びを進める自由進度学習を取り入れ、主体的に学ぶ力を育み、津島では、身につけた英語力を生かして、地域の祭りで英語でのアナウンスを行うなど、学習成果を社会に生かすことを重視する国際バカロレアの趣旨を踏まえた教育に取り組んでおります。
 今後、開校する第二次導入校につきましては、探究学習重視型の豊田西、西尾、時習館の三校では、第一次導入校の取組を踏まえながら、チェンジ・メーカーの育成を目指してまいります。
 また、愛知総合工科では、生徒が興味、関心のあるテーマを見つけ、育て、咲かせることができるように、中学三年間で百種類の理工学的な体験にチャレンジしながら、愛知らしいモノづくりに関する探究に取り組んでまいります。
 日進では、授業時間数を七割程度に削減して、ゆとりのあるカリキュラムとしたり、生徒が好きなことや得意なことに取り組める時間を新たに設けるなど、不登校を経験した生徒が、自分のペースで安心して学べる学校といたします。また、高校に学びの多様化コースを設置し、中高六年間を通して生徒へのきめ細かな支援を行ってまいります。
 こうした取組を通して、子供たちがこの学校で学びたいと思えるような魅力ある中高一貫校にしてまいりたいと考えております。

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